広島高等裁判所 昭和28年(う)543号 判決
原判決挙示の証拠によれば原判決摘示の事実を優に認めることができる。そして捜索差押許可状は捜索差押処分の行われる間当該捜査官においてこれを所持しているものであることは勿論右処分の完了した後においても後日の証拠書類として一件書類と共に捜査度署(警官署、検察庁)に保管せられ、なお必要に応じ裁判所へも提出されるものであるから、刑法第二五八条にいわゆる公務所の用に供する文書であることは疑いのないところであるというべく、更に被告人が右処分の行われるに当りこれが呈示をうけた際、右は貰いきりのもので破棄しても差支へないものと信じていたものであるから犯意はなかつた旨の主張は、犯意に違法の認識を必要とするとの前提に立つ議論であるが、違法の認識は犯意の要素でない事は最高裁判所の屡次の判例に示す通りであるから(昭和二四年(れ)第一六九四号同二六年一一月一五日第一小法廷判決等参照)仮に被告人において当時右のように信じてゐたとしても本件犯意の成立に何ら欠くるところはなく、又右はいわゆる事実の錯誤の場合にももとより当らないのである。